• 2008/05/12
  • 執筆者: Yamaoka (7:31 pm)

<連載コラム>心声天語(15)サイゴン陥落の日  

一九七五年四月三十日、サイゴン市街地は北ベトナム軍に包囲され、陥落は時間の問題となった。数万人の民衆が迫り来る北ベトナム軍の恐怖から米大使館に押し寄せた。鉄条網のバリゲートで築かれ大使館前には武装した米軍が立ち塞がっていた。また避難民の輸送にも限界があった◆米当局は、サイゴン陥落に際して救出すべき対象者だけを大使館に入れた。政府要人、米国人家族、外国ジャーナリスト、米軍が雇用した現地民間人、などである。北ベトナム軍の戦車が大使館に迫った。その時、三十六名を乗せた最後のヘリコプターが大使館屋上から飛び立った。ヘリコプターの中に一人のベトナム少年がいた◆戦争で両親を亡くした少年は、8歳の頃から米大使館周辺で靴磨きをしていた。彼は、自分にやさしくしてくれる軍人のおじさんたちからは一切、金を受け取らずに靴を磨いてあげていた。幼くして両親を失ったことで人一倍、やさしさや情に飢えていたのだろう◆サイゴン陥落の日、群衆に押し潰されそうになっている少年を顔見知りの軍人が発見。軍人は、少年を急いで大使館の敷地内に入れたのであった。アメリカに渡った少年は、大学を卒業して弁護士になった。彼は『サイゴンに残された人たちのことを思うと今でも心が痛みます』と語っている◆少年の運命を変えたサイゴン陥落の日の、一瞬の偶然。しかしそれは、偶然ではないはず…人間の運命には目に見えない何かの、不思議な力が働いているような気がする。やさしさに報いるべく金を受け取らなかった少年の健気さが、彼の運命を変えてくれたように…。(和光)
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