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  • 2014/09/23
  • 執筆者: Yamaoka (12:46 am)

<短期集中連載コラム>日本におけるメディアと慰安婦問題「第5回 日本の将来と日本のメディア」

 朝日新聞へのバッシングが始まろうとしていた9月3日、安倍首相の第2次安倍改造内閣が発足した。
 今回の内閣は閣僚の3分の2を入れ替える大幅な改造だ。改造内閣の陣容を見ると、安倍首相を含む19人の閣僚のうち15人が“極右大本営”と呼ばれる「日本会議」の所属である。
 日本会議は自衛隊を軍隊化し、東アジア覇権を握るという目標のもとで一つになった右翼勢力の指令塔でもある。改憲と日本の核武装を主張する保守者が結集した「日本を守る国民会議」と、神道系の宗教団体で構成された「日本を守る会」が1997年に統合して誕生。日本会議と同じ考えの議員が院内に作った組織が「日本会議国会議員懇談会」であり、第2次安倍内閣の構成員80%がこの懇談会に所属している。安倍首相自身が特別最高顧問を務め、麻生太郎副首相をはじめとする今回留任した6人の閣僚のうち5人がこの懇談会のメンバーである。
 さらに、新たに入閣した12人のうち9人がこの懇談会所属だ。懇談会副会長の高市早苗新総務相は、慰安婦動員の強制性を認めた「河野談話」の白紙化を公開的に主張した人物。政策審議会長の山谷えり子新拉致問題担当相は、竹島(韓国では独島と呼んでいる)は日本の領土だと主張する「日本の領土を守るため行動する議員連盟」の会長で、米国内の慰安婦像設置に抗議するため米国にまで行っている。
 これを見る限り、日本は右側に大きく舵を切ったような印象だ。また、それに合わせるかのように、メディアにおける中韓叩きが激しさを増しているようにも感じられる。
 韓国人のメッカともいえる「新大久保駅」界隈では、連日、嫌韓デモが繰り広げられ、その中には『韓国・朝鮮人は日本から去れ!』など、差別を越えた「非人道的言葉」が飛び交っていた。さすがに、これには良識ある日本人の中でも「日本の恥だ」といった声が出ている。京都の朝鮮初級学校周辺で「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の会員らがヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)をしたことが名誉毀損に当たるとして争われた判決にて、大阪高裁の森宏司裁判長は在特会側の控訴を棄却。「学校の児童が人種差別という不条理な行為で多大な精神的被害を被った」と述べ、約1226万円の異例の高額賠償と新たな街宣活動の差し止めを命じた一審・京都地裁判決を支持した。ヘイトスピーチに対する損害賠償が高裁段階で認められたのは初めてのことである。

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  • 2014/09/18
  • 執筆者: Yamaoka (8:40 pm)

<短期集中連載コラム>日本におけるメディアと慰安婦問題「第4回 朝日新聞へのバッシング」

 9月11日、この日は世界を震撼させた「9・11テロ」の記念日だが、同じ日、日本メディア界の大事変ともいえる朝日新聞の記者会見が行われた。
 記者会見の内容は、朝日が過去に報じた福島原発事故時の「吉田調書」と「従軍慰安婦関連記事」は誤報であったことを自ら認める謝罪会見である。反朝日陣営のメディアは、朝日の謝罪会見に勢いづいたかのように「朝日の非」を、「朝日の驕り」を、「朝日の恥」を天下に曝すかのようにバッシング、そこに安倍首相や菅官房長官をはじめ文化人や政財界の要人までが朝日に苦言を呈した。産経、週刊文春、週刊新潮などの「朝日憎し」のメディアに至っては、まるで鬼の首でもとったように“それ見たことか!”と太鼓を打ち鳴らしている。
 確かに、朝日の誤報はメディアの信頼を根元から崩す大失態であり、反朝日陣営が掲げる「朝日の罪」ともいえるだろう。また、海外の主要メディアも一斉に「日本の有力メディアである朝日新聞が誤報を自ら謝罪」と報じただけに、反朝日陣営が唱える「朝日は日本がアジアの女性たちを強制的に『性奴隷』にしたとの印象を国際社会に植え付けた」として、朝日を売国的メディアとの視点で叩いている。
 さらに、朝日の罪を射ている反朝日陣営のメディアにおける一部論調には、朝日の誤報がもたらした悪影響こそ、自分たちが常々主張してきた「朝日新聞というメディアの負」に他ならないと、自分たちの主張を裏づけるような論調で報じているとも感じられた。
 しかしーーこの“しかし”は、朝日を庇おうとする「しかし」ではなく、今回の記者会見や朝日へのバッシングに接して芽生えた筆者の個人的見解だが、バッシングしている反朝日の論調に朝日新聞以上の“負"が感じられた。

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  • 2014/09/11
  • 執筆者: Yamaoka (4:52 pm)

<短期集中連載コラム>日本におけるメディアと慰安婦問題「第2回 側の論理」

 今回の「メディア合戦」を誘発させた「慰安婦問題」、この問題については日韓両政府の見解も正反対にあり、「河野談話」の再検証まで行うに至っている。
 問題の焦点は、「日本軍が韓国女性たちを慰安婦に従事させるため強制連行した」との韓国側主張と、日本側の「強制連行はなかった」という主張が真っ向から対立していることだ。
 これまで、日韓両政府関係者をはじめ、多くのメディアが戦時中の慰安婦問題の事実を求めて元慰安婦女性たちに接触、事実の裏付けとなる証言や資料を検証してきた。その結果、元慰安婦やその家族たちの証言、慰安婦を相手にした元日本軍の証言、元日本兵の手記など、個々のケースにおけるさまざまな資料の存在が明るみになった。その資料の中には、韓国の主張を裏付けるものもあった。
 しかし、取材に応じた元慰安婦女性の体験が個々に異なっており、またその女性たちの中には、屈辱な体験ゆえに日本に対する“感情的視点”“被害者的意識”で事実を取り繕った証言…あるいは、事実と違う状況を語った女性もいただろう。また大阪の橋下市長が言ったように、売春を生業とするプロの女性たち、あるいは、「日本兵相手の出稼ぎ」との割り切った覚悟で膨大な金を稼いだ女性もいたと察せられる。反面、一日何十人もの日本兵を相手にした少女が耐えられなくなって自ら命を絶ったケースや、それ以上の悲惨なケースもまたあっただろう。
 もっとも、これら元慰安婦の証言がどこまで事実かを検証する方法は、ない。
 結局、彼女たちの当時の体験・心情をして語る日本・日本兵への怨み憎しみに対する“涙ながらの事実”をどう受け止めるかで、事実が左右させる。これは、ジャーナリスト・記者という前に、一人間としての受け止め方に左右される問題でもある。

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  • 2014/09/08
  • 執筆者: Yamaoka (4:52 pm)

<短期集中連載コラム>日本におけるメディアと慰安婦問題「第1回 メディア界の仁義なき戦い」

 8月27日、朝日新聞が週刊文春(9月4日号)の広告掲載を拒否した。毎週掲載される記事広告である。朝日新聞としては、拒否した号の特集が朝日新聞を狙い撃ちした「朝日新聞・売国のDNA」であったことから、掲載するわけにはいかなかったようだ。
 それにしても、「売国のDNA」とは強烈だ。
 朝日新聞と文春といえば、我が国を代表するメディア?ともいえるが、その両メディアの、仁義もない戦いは、報道記事よりも興味がそそられる。
 今回の勃発は、朝日新聞が過去に掲載した慰安婦記事を再検証する特集を掲載したことで始まったが、そもそも、両社は相反するDNAなので報道における視点や解釈も正反対の路線にある。とくに今回の「慰安婦問題」は、日本はもとより国際的にも大きな影響を及ぼすことから、両社とも退くに退けない覚悟で向かい合っているような印象を受けるが、それは「右系メディア」と「左系メディア」の戦いにも映る。そしてそこに、読売新聞、週刊新潮、産経新聞、週刊現代、週刊ポストなどが加勢、慰安婦問題をはじめ中国・韓国関連の報道に際して「文春の売国DNA」に似た論調でネガティブな記事を展開、さらにヌードグラビアを売り物にしているようなフライデーやフラッシュ、アサヒ芸能など、他の主要な日本のメディアもこぞって反中・反韓の関連記事を掲載している。
 主要各誌最新号の見出しをみると、「おごる朝日久しからず(週刊新潮)」、「朝日新聞と韓国メディア『慰安婦の嘘』の嘘を丸裸にする(週刊ポスト)」、「いかれてないか中国・韓国!(週刊現代)」…その中でも、産経は“中韓憎し!”といった視点から中国・韓国を叩いており、産経の社運をかけた取り組みと錯覚するほどだ。さらに、中国を“シナ人”と呼んではばからない元産経記者「高山正之氏」のコラム「変見自在」を長年に渡って連載している週刊新潮も産経・文春におとらない朝日の“天敵”であるだけに、同誌が朝日新聞に出稿する記事広告も一部黒塗りで掲載された(右上の写真)。朝日新聞は慰安婦問題に関する報道を批判した前号の広告も掲載を拒否したが、今回黒塗りになった部分は「売国」「誤報」との文言。新潮社は「黒塗りについては納得も承認もしていないが、掲載する朝日新聞が行うことで仕方ない」とコメントしており、まさに、日本のメディア界を二分する戦いになっている。
 各紙・誌が報じる中国・韓国関連記事はあらゆる分野に渡っており、見出しから連想される中韓のイメージは、嘘と矛盾だらけの国となっている。これは、中韓メディアの対日報道にもいえる。日本と中国・韓国のメディアが放つ過激な視点と偏見の報道には、メディアとしての自尊心・品格・ジャーナリズムのかけらもない“目くそと鼻くその報道合戦”に思えてならない。

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  • 2010/03/08
  • 執筆者: Yamaoka (2:50 pm)

<心声天語>(173)「夕焼け小焼けの赤とんぼ」

高校で音楽を教えている知り合いの先生が、「生徒が『先生の好きな歌は何ですか』と聞いたので『赤とんぼ』と答えたところ、“そんな古い歌は知りません”と言い、びっくりしました」と言っていた。日本を代表する童謡を知らないとは…日本の教育もいよいよ、末期的状況に来ているようだ◆「赤とんぼ」は筆者も大好きだ。とくに好きな歌詞は、「♪十五で姐(ねえ)やは、嫁に行き お里のたよりも、絶えはてた」という部分だ。昔の日本では、「女中」と呼ばれていた女性たちがいた。殆んど小学校や中学校を卒業したばかりの彼女たちは、雇われた家で子守りや家事をしていたが、彼女たちのことを「姐」と呼んでいた◆「赤とんぼ」の一番目の歌詞「♪おわれて見たのは いつの日か」というのは「追われる」ということではなく、姐に“背負われて”という意味である。作詞家の三木露風さんが「姐」に背負われていた頃の「懐かしい思い出」であろう。それにしても、十五才で嫁ぐということは、十才?十二才頃から働き出たことになる。可哀想に…◆日本にも貧しい時代があった。そんな時代、貧しい家庭の少女たちは、姐として他人の家で一生懸命に働いたものだ。幼い時から生きていく苦労を背負って育った少女たち…今のように「生活保護」も「給付金」もなかった時代である◆日本も豊かになった。国から「子ども手当」や「子育て支援金」まで出る。あの、赤とんぼに出てくる少女たちが嘘のようだ。しかし、社会が豊かになっていく反面、日本人の心は貧しくなっている。高校の授業料を無料にするより、「赤とんぼ」に込められた日本人の心を教える方がもっと、大切な気がしてならない。(和光)
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  • 2010/01/12
  • 執筆者: Yamaoka (2:10 pm)

<心声天語>(172) 「成人式」での新成人たち

1月10日、佐世保市で開かれた成人式の壇上で酒に酔った新成人が市長を殴ろうとするなど、大騒ぎとなった。毎年繰り返される成人式の騒ぎには、うんざりする。会場に酒を持ち込んでラッパ飲みし、爆竹やクラッカーを鳴らして祝辞を妨害するなど、やりたい放題である◆人生には“大切な区切り”がある。その中でも、成人となる20歳の区切りは、その後の人生を大きく左右する。しかし、だからといって毎年、全国一斉に成人式を行うこともなかろうに…ましては、内容は毎年、“ありきたりの祝辞”である。外国では、成人年齢に達した事を全国一斉に祭典として行う国は、ほとんどない◆数年前、静岡市の小嶋市長が『常識もしらない新成人に税金を投入し続けるより、式そのものを打ち切りにすべきだ』と発言した。すると、呉服業界から「業界の衰退にかかわる」との抗議が相次いだ。なるほど、着物、羽織はかまを着る成人式は、業者にとって“ドル箱の行事”である◆今年の新成人は、1989年4月2日から1990年4月1日までに生まれた。彼らは厳しい時代に育った世代でもある。彼らが生まれた年にバブルが崩壊し、株価と地価が大暴落、小学2年の時には山一証券が倒産、そして今、日本の翼だった日本航空が倒産に直面している◆読売新聞が昨年、成人式に出席した若者に尋ねた。「日本の未来について」という質問に、「はあ?自分の未来さえ分からないのに」と苦笑した。また「自分の未来を何歳まで予想できるか」との質問には、最も多かった回答が「30歳」であった。人生の目標・希望を見失った若者たちは、成人式の場にて思い切り、わけのわからない自己主張をしているのだろう。(和光)
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  • 2010/01/07
  • 執筆者: Yamaoka (6:30 am)

<心声天語>(171)今年の干支「虎」と「アジアの時代」

新年になった。今年の干支は「虎」だ。虎はアジアを象徴する動物だ。虎はインドシナ半島からシベリア、朝鮮半島と、アジア全域に生息していた。虎は強い者、豪傑の代名詞として使われ、中国の『三国志演義』では劉備に仕えた五人の武将を「五虎大将軍」と呼んでいた◆虎の諺・格言が多くある。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」「虎視眈々(こしたんたん)」「虎の威を借る狐」…百獣の王と言われるライオンは西洋的なイメージだが、そのライオンには虎のような言葉はない◆21世紀に入った10年前、『21世紀はアジアの時代』といわれた。しかし、当時はまだまだ「欧米」が世界を左右していた。ところが、アジアは21世紀の最初の10年に躍動的な変化を遂げた。中国がG2に浮上、インドがその後を追い、ベトナムが改革の結果を見せている。ASEANが外交のスーパーパワーになるのも時間の問題だ◆日本はアジアに属している。しかし、日本は欧米型社会に近く、アジアの人々から「日本はアジアの友人ではなく欧米の友人」といわれてきた。無理もない。日本はその間、欧米文化に憧れ、欧米社会を真似、“横文字がかっこいい”と思ってきた。これではアジアと真の友情は、築けない◆「虎」年の今年から本格的なアジアの時代が始まる。世界人口12%の西洋が55%のアジアの運命を左右する時代が幕を下ろし、紙と火薬とアラビア数字を発見した素晴らしい文明・文化のアジアが冬眠から目覚める。アジアの風…虎の言葉の中に「雲は竜に従い風は虎に従う」というのがある。ところが、アジアで唯一、虎が生息しなかった日本は、アジアの時代とどう向かい合うのだろう。(和光)
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  • 2009/12/22
  • 執筆者: Yamaoka (2:30 pm)

<心声天語>(170)オウム真理教幹部の死刑

1995年、世界一の都市で起きた「地下鉄サリン事件」は、日本だけでなく、世界に衝撃を与えた。この大それた事件を仕組んだ「オウム真理教」は、宗教法人として認可されて以降、各地に支部や道場を設置、ロシア等海外にも支部を設置、1989年当時には約1万人の信者がいた◆1984年、麻原彰晃なる男がヨーガ道場「オウムの会」を始めた。その後、1987年に宗教団体「オウム真理教」を設立。この頃、オカルト系雑誌などがオウムの会を「ヨガ団体」として紹介していた。この時に掲載された写真が、麻原が座禅を組んで跳躍する、オウムが言う所の「ダルドリー・シッディ(空中浮揚)」である◆多くの若者がオウム真理教に入った。弁護士・医者・教授など、エリートたちも少なくなかった。その中に、後に麻原の寵愛を受ける「井上嘉浩」がいた。信心深い井上は、修行の天才として、信者獲得や布施集めを精力的に行った。当時の井上にとって麻原は、“神”であった◆10日、井上の上告審が最高裁で開かれ、一審の無期懲役が棄却、「死刑」が確定した。一審で無期を告げられた時には声を上げて泣いたが、今回は無言であった。7月、井上が関係者に送った手紙には、「夢の中で教団から追いかけられ、悪夢にさいなまれている」と記されてあった◆自分が信じた“神”が“悪魔の化身”と知った時の、天が崩れるような衝撃は、死よりも大きなものであったはずだ。でも、悪魔の手先として犯してきた罪は、死をもってしても償いきれないものである。たとえそれが「信じたがゆえの罪」であっても…。井上だけではない。人間は、自分の知らないうちに罪を犯し続ける、ものなのである。(和光)
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  • 2009/12/15
  • 執筆者: Yamaoka (12:40 pm)

<心声天語>(169)日本の「北朝鮮外交」

内閣府の外交世論調査によると、韓国に「親しみを感じる」と答えた人は63・1%、日韓関係を「良好」と思う人が66・5%であった。韓国の好感度が上がる中、同じ民族である北朝鮮は孤立を深めている。とくに、拉致問題で対立している日本との関係は、最悪の状況だ◆来年に日本で開催される東アジア女子サッカー選手権で、北朝鮮チームが来日する予定であった。ところが、中井洽拉致担当相は、北朝鮮チームの入国に反対を表明した。理由は「制裁のため」だそうである。中井担当相の見解に、日本の外交は幼稚すぎる、と感じずにいられなかった◆1971年、米中の歴史的「ピンポン外交」が展開された。当時、中国と米は対立関係にあったが、それでも中国は?千載一遇のチャンス“ととらえ、米卓球チームを中国に招聘し、世界を驚かせた。ピンポン外交のあと、キッシンジャー、ニクソン訪中を経て米中の国交が樹立、中国は国際的孤立から脱出した◆第二次大戦後、フランスとドイツの間には、なおも根深い不信が横たわっていた。しかし、両国は文化・スポーツ交流を介して、国民感情を徐々に和らげていった。両国は今、手を取り合って欧州連合を支え合っている。文化やスポーツは、国際舞台で唯一、垣根なき交流をはかれる外交手段、なのである◆拉致問題に進展がみられない中、北朝鮮に制裁をかけようとする心情も、わからないではない。しかし、国際試合に参加する選手団の入国を認めないというのは、了見が狭すぎる。高度な外交とは、強固な姿勢で向かいあう一方、ときには水面下で、突破口になりうる「糸口」を見つけ、それを外
交手段にかえていく巧みさ、なのである。(和光)
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  • 2009/12/10
  • 執筆者: Yamaoka (5:00 pm)

<心声天語>(168)日本の名誉番組「紅白歌合戦」

年末になると必ず、「紅白歌合戦」の話題がマスコミを賑わす。それも、誰が出場する、しないのと、どうでもいいようなことで大騒ぎだ。しかし、紅白を観ないと年を越せないという人も、結構多い。たしかに、娯楽が少なかった時代、大晦日には家族みんなで紅白を観る…日本人の師走風景でもあった◆終戦の1945年、ラジオで『紅白音楽試合』という番組が放送された。当初は「紅白歌合戦」だったが、GHQが「合戦」という語に難色を示し、「試合」となった。紅白のテレビ放送は、1953年からである。それにしても、「紅白音楽試合」とは…NHKらしいセンスだ◆敗戦国に明るさをともした「リンゴの歌」。高度成長期には、井沢八郎が「♪上野は おいらの 心の駅だ?」と、集団就職の若者たちの心情を歌った。また、三波春夫によって「東京オリンピック」「大阪万博」のテーマ曲が紅白で披露された。紅白は、その年々の、社会情景を見事に映し出しても、いた◆紅白出場は、歌手にとって「運命の舞台」だ。紅白に出ると“NHKお墨付き”となり、地方公演のギャラが5倍、10倍と跳ね上がる。反対に、NHKに睨まれたら紅白に出られない。1973年、美空ひばりの弟が暴力事件で逮捕されたことで、彼女は紅白に出られなかった。国民的大歌手でも容赦しない…偉大なNHKだったのである◆今年で「60回」を迎える紅白、出場者の顔ぶれもすっかり、変わった。お笑い芸人や韓国の歌手など、昔だったらあり得ないことだ。しかし、進行や演出は、あいかわらず同じパターン…“HNKらしさ”を貫いている。いくら時代が変わっても、紅白だけは“そんなの関係ない”とばかり、園児のように『紅組が勝つか白組が勝つか』とはしゃいでいる。おめでたい放送局だ。(和光)
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  • 2009/12/03
  • 執筆者: Yamaoka (2:40 pm)

<心声天語>(167)「携帯電話中毒」

一時、電車内で“漫画”を読む人が多かったが最近は、携帯電話を見る人が多くなってきた。メールの確認、ゲーム、占いなど、さまざまだ。車内だけではない。交差点で信号待ちしている時も、歩きながらも、使っている。まるで携帯電話中毒にかかっているようである◆今年の三月、NTTは小学生の携帯電話利用調査を行った。それによると、小学生の43・3%が自分の携帯を持っていると答えた。さらに、小学6年生では51・22%、中高生では91・4%だ。子どもから大人まで、携帯は今や、現代人にとってなくてはならない生活ツールになっている◆技術の進歩は、すごいものだ。掌に入るほどの小さな通信機器が“魔法”のような機能を発揮する。世界中に電話をかけられるのはもちろんのこと、メール、カメラ、映像の送信、通販…なにより、必要な情報を瞬時に入手できる。便利な道具だ◆携帯の登場で、斜陽化の道を辿っているものは少なくない。その代表的なものが、公衆電話だ。また犯罪にも多く使われる。「振り込め詐欺」は携帯がなかったら成り立たない。不倫・浮気相手との“連絡用”としても威力を発揮する。実際、離婚のきっかけが「夫の、妻の携帯をみた」ことで始まるケースが増えている◆携帯がなかった時代、遠くにいる家族や友人たちを懐かしみ、「今頃どうしているのかな」と思い浮かべた。今では携帯ですぐに、連絡を取り合える。しかし、携帯に溺れている現代人には、愛する人を思い浮かべる「情」がどんなに素晴らしいものか、わからないだろう。人間は、便利さを追い求めるあまり、それによって失われ、忘れ去られる「尊きもの」に気付かないのである。(和光)
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  • 2009/12/01
  • 執筆者: Yamaoka (2:20 pm)

<心声天語>(166)「上海ディズニーランド」

2014年、上海にアジアで3番目(東京・香港に次いで)のディズニーランドがオープンする。資本主義の象徴ともいえる「ミッキーマウス」が「孔子の国」に乗り込む、一昔前までは考えられなかったことだ。中国は、「文化大革命」で資本主義文化を痛烈に批判した国である。その中国がミッキーを受け入れる…変われば変わるものだ◆上海のディズニーランドに対し、「中国文化の衰退につながる」と批判の声が上がっている。またネット上では、「米の文化侵略」と民族感情をあおる過激な言論が飛び交っている。米大好き人間が押し寄せる東京ディズニーとは、大違いだ◆「ミッキーマウス」は世界一有名なネズミだ。しかし、ただのネズミではない。レーガン前大統領から「勲章」まで授与されるほどの、偉大なネズミだ。日陰で生きるネズミを大スターに仕立て上げるあたり、さすが「アメリカン・ドリームの国」である◆ミッキーに中国文化を衰退させられるというなら、中国は「孫悟空」を登場させ、孫悟空のテーマパークでもつくったらどうだろう。すくなくとも、ネズミより猿の方が“まし”である。孫悟空は三蔵法師と出会い天竺への旅をお供するが、ミッキーは金持ちの子どもたちを喜ばせようと必死になっている◆ネズミという言葉は、人が寝静まった夜陰に乗じて食物を盗むという意の“寝盗み”からきている。ネズミ(鼠)という語そのものが、スパイなどを指す隠語でもある。もしや、ミッキーの本当の任務は、米国のスパイとして、世界中の子どもたちを「米大好き人間」に変えることかもしれない。アメリカという国ならそれぐらいのことは、やりかねないだろう。(和光)
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  • 2009/11/26
  • 執筆者: Yamaoka (9:30 am)

<心声天語>(165)「奇跡のリンゴ」

木村秋則さんの「奇跡のリンゴ」が話題になっている。木村さんがりんごの自然栽培に取り組んだのは、20数年前である。たまたま入った本屋に「自然農法論」があり、それを手にして、無肥料・無農薬で米が作れることに強い刺激を受け、りんごでも出来ないだろうかと思ったのがきっかけだ◆木村さんは長い間、挫折と苦悩の連続であった。大量の害虫が発生し、酢、ワサビ、みそなど、あらゆるものを農薬代わりに試した。家族も朝から晩まで害虫退治にかりだされた。生活も困窮を極め、一個の消しゴムを三つに切って子どもたちに使わせた◆85年、耐えかねた木村さんは首をつろうと山に登った。山には木の葉が生い茂っていた。木の周りの雑草をみて、ヒントは土にあると思った木村さんは、土を掘り返した。土が温かい。土の中で繁殖した微生物が落ち葉や草を分解し、栄養分を作り出していた◆再び挑んだ木村さんは、それまで刈り取っていた雑草を放置した。すると、リンゴの木はみるみるうちに元気になった。8年目の1986年、400本の木からわずか2個だけ、ピンポン玉ほどの実がなった。そしてその翌年には、畑一面にりんごの花が咲き乱れた。涙が止まらなかったという◆木村さんのリンゴは今、あらかじめ注文しないと買えないほどの人気である。数年前、NHKが「木村さんのりんごのスープ」を出すレストランを取材した。レストランで2年間保存していた二切れのリンゴは、腐っても変色してもいなかった◆木村さんは、首をつろうとした“その山”で「奇跡のリンゴ」のヒントを得た。世の先駆者たちがそうであったように、“奇跡”と思えるほどの運命は、「もう限界だ」と思えるほどの、ぎりぎりのところまでいかないとおこらないのである。(和光)
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  • 2009/11/24
  • 執筆者: Yamaoka (2:40 pm)

<心声天語>(164)ペットの運命

岡山理科大専門学校は、来年から温泉で犬の湯治効果を調べるそうだ。湯船の広さ、温度などの条件を変え、入浴中の脈拍、心電図などで体調の変化をみる。犬の湯治とは驚きだ。同校の動物学科部長は「皮膚炎や関節炎などの病気にかかるペットが増えている。人間と同じ効能を期待したい」と語った◆ペット・ブームに観られる最近の“過保護的な愛情”には、行き過ぎと思えるものが少なくない。ペットに服、ペットのビタミン剤、ペットの生命保険、TVではペットの餌…失礼、“餌”ではなく「ペット様が召し上げる食」のCMが流れている◆犬といえば「徳川綱吉」が有名だ。綱吉は、「生類憐みの令」を出し、犬を殺しては駄目、見世物にしては駄目、犬の事を「お犬様」と呼ぶようにと、農民より犬の方が上であった。外国にはもっとすごい愛犬家がいる、膨大な遺産を猫に相続させた飼い主、死んだ愛犬のクーロン犬を誕生させた飼い主もいる◆テレビで観たが“毎日風呂”に入れられる犬がいた。毎日の風呂は人間の目線、やりすぎである。人間と習性が異なる犬や猫を人間の視点で飼っては、いけない。ある動物学者は「ペットに注がれる愛情の多くは、飼い主のエゴ、自己満足」だそうだ。喋れないペットは、その実、飼い主の“わけのわからない愛情”に辟易しているかもしれない◆贅沢に育てられるペットがいる反面、哀れなペットもいる。日本全国の保健所で年間、犬約30万匹、猫約35万匹がガス室で殺される。中には産まれて間もない子犬や、飼い主に捨てられたペットなど、さまざまな運命のペットたちがいる。犬のレストランで食事する犬、ガス室に送られる犬、ペットたちの運命も飼い主との“出会い”で決まるようだ。(和光)
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  • 2009/11/19
  • 執筆者: Yamaoka (7:20 am)

<心声天語>(163)笑顔測定器「スマイルスキャン」

米タイム誌は、今年最低の発明5つを選び、最新号に掲載した。その中に、「ガスマスクとしても使えるブラジャー」などと並び、日本の「オムロン」が開発した、笑顔をチェックする「スマイルスキャン」が入っていた。映像で顔を認識して「笑顔度」を測定するシステムである◆「スマイルスキャン」の開発担当者は、『残念です。世の中に笑顔を増やすという意図を理解してもらっていたら…』と語った。まだわかっていないようだ。笑顔には「モナリザの微笑」もあれば、人をバカにした「嘲笑い」、吉本芸人の「バカ笑い」など、いろいろある。人間の、心の問題である「笑」を機械で測定しようとは、「職人国」の限界を感じる◆10数年前、NECが「魚八景」なる製品を開発した。泡が吹き出す水槽と組み合わせたハイビジョンTVに熱帯魚を映し出し、魚がリアルに観えるようにしたものだ。世界的な企業が始めた「観賞用水槽事業」である。しかし、何十万円も出して偽の熱帯魚水槽を買うほど、日本人はアホではない◆日本の技術力は世界トップレベルにある。宇宙ステーションや火星探査には、日本の技術・製品が随所に使われ、米宇宙産業に欠かせない存在となっている。ところが…技術の応用力、発想力には、欠ける。「偽の観賞用水槽」や「笑顔測定器」、なのである◆自動車や電化品など、ほとんどが外国で発明されたものだ。日本は、「これは儲かる」と思ったらたちまち、それを真似て世界最高品質の製品に仕立て上げ、世界に売りまくる。日本が得意とする“もう一つの技”である。世界の人たちは、今ごろ、世界最低の発明に選ばれた笑顔測定器の報せに“大笑い”しているだろう。(和光)
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  • 2009/11/12
  • 執筆者: Yamaoka (11:20 pm)

<心声天語>(161)市橋容疑者の「逃亡と罪」

英国人女性殺害で指名手配されていた市橋容疑者が逮捕された。事件から2年7カ月後の逮捕である。市橋は、大阪、福岡などに潜伏し、整形手術を重ねながら逃走していた。マスコミにとってこのニュースは、酒井法子覚せい剤事件に続く「最上級のネタ」…まさに“上報”であろう◆市橋逮捕の報せに、被害者の親と容疑者の親がやるせない心情を語った。その中で、市橋の両親が語った『あの子は自殺していると思っていた』という言葉には、親と子の、どうにもならない情、因果を感じずにいられなかった。市橋の両親は、たとえ殺人犯でも“生きていてくれた”という事実には、ホッとしたはずであろう◆昔、「逃亡者」という米ドラマがあった。無実の罪で死刑を宣告された医師「リチャード・キンブル」が、警察の追跡を逃れ、全米を旅する物語だ。髪を染め、名を変え、さまざまな労働に就きながら逃げ続ける。ドラマとはいえ、逃亡者ゆえの“ぎりぎりの生”が観る者を釘付けにした◆逃亡者といえば「福田和子」を思い出す。彼女の逃亡生活も、ドラマチックであった。多くの偽名を使い、整形手術を繰り返し、各地を転々として15年近くも逃げ続けた。しかし、時効数カ月前に逮捕された。彼女はその後、無期懲役の判決に控訴したが棄却され、収監された◆「逃亡者」ほど、哀れな人間はいない。自分という人間を隠し続け、逃げることのみが人生の目的となる逃亡生活は、罪を償う苦しみ以上の苦しみである。先の「福田和子」は、収監中の2005年に脳梗塞で死去、享年58歳であった。哀れな運命である。人間は罪から逃れられない…罪は必ず、運命にて裁かれるものである。(和光)
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  • 2009/11/10
  • 執筆者: Yamaoka (10:40 am)

<心声天語>(160)ただいま「失業中」   

月曜日の朝、男性社員が「辞職願」を提出した。そこには「一身上の都合」とあった。「一身上の都合」が何であるかは知らないが、日本ではそのように書くのが形式である。便利な言葉だ。辞める理由を再度、聞いてみた。すると、仕事が自分に合わないからだという◆「辞職願」を出した社員を面接した時、爽やかな印象を受けた。なにより、『この会社で人生を研きたい』との言葉が、頼もしかった。ところが、入社4カ月目で辞めることになったのである。社員を去らせてしまう責任の一端は、会社側にもあろう。しかし、「石の上にも三年」ではないが、4か月で答を出すのは、早すぎる◆就職難の中、多くの業種で求人を募集している。しかし、その多くは、給料が安く、やりたくない仕事、という理由で敬遠されている。自分のやりたい仕事で高収入を得る…理想的である。だが、働く意味の現実は、やりたくない仕事でも我慢しなければならない“辛さ”なのである◆昨年末、日比谷公園に「年越し派遣村」ができた。この“イベント”の発起人によると、暮れに同様の問題を持つ人たちと居酒屋で飲んでいた時、話が決まったという。居酒屋で一杯やりながら…自家用車で会場に来た“失業者”もいた。国は彼らのために救援策を講じるそうだ◆昔、給料も払わずに働かす「丁稚奉公」なる制度があった。また「野麦峠」の女工たちは、過酷な労働を強いられた。労働者の権利がないがしろにされた時代である。それでも、当時の若者たちは「家族のため」「生きるため」に歯を食いしばって、頑張った。豊かになり過ぎた今の日本では、働くことの理由、動機が限りなく曖昧になっているような気がして、ならない。(和光)
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  • 2009/11/05
  • 執筆者: Yamaoka (6:40 am)

<心声天語>(159)魚の運命

週末、デパート地下の食料品売り場に立ち寄った。食料品を売ってもさすがに“百貨店”、普段見慣れている食材でも百貨店のセンスで陳列されているとなぜか、“美味しそう”に感じる。お魚屋の陳列ケースをのぞいた。いろんな魚がある。ところが、国産魚と輸入魚の値段には、相当なひらきがある◆海で泳いでいる魚に「国籍」は、存在しない。日本人の好きな本マグロは、台湾近海で生まれ、日本近海で1年ほど過ごした後、太平洋を周回するうち世界各地で捕獲され、それが日本に輸入される。しかし、輸入品は「外国産」として“見下され”、値段も安い◆「うなぎの蒲焼」があった。台湾産は国産の半値近い値段だ。大きさも形も同じ、味もそう違わないだろうに。うなぎの産卵地は日本からはるか2千?も離れたグアム島付近、卵からかえった「稚魚」を捕獲し、養殖する。日本産も台湾産も元は、同じ稚魚である◆深夜の百貨店、台湾産のうなぎが隣の日本産に話しかけていた。『もしやお前は…やっぱり!』。『おお!覚えているとも、同じ親から生まれた兄弟、忘れるはずがない』。『俺は南洋を北上しているうち台湾漁船に捕獲され、このざまよ』『俺は日本の漁船に捕えられ、浜名湖で育てられた』。『それにしてもお前、いい値段つけてもらったな。俺も日本に向かっていたらよかった…』◆うなぎの横で二匹の「ふぐ」が泣いていた。『おっかさん!』『玄界灘で離別してからというもの、母はどんなに心配したことか』『俺はおっかさんと別れた後、韓国の漁船に捕えられ、そして日本に売られた』『かあさんは下関の漁船に捕獲され…』。引き裂かれた親子のふぐが日本の「デパ地下」で、再会したのである。魚の運命も、どこの国の漁船に捕獲されるかで、決まるようだ。(和光)
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  • 2009/10/29
  • 執筆者: Yamaoka (6:50 am)

<心声天語>(158)一葉落ちて天下の秋を知る

秋になった。実りの秋、祭りの秋…秋は暑く寒くもない、過ごしやすい季節だ。「四季の歌」の歌詞に、『春を愛する人は 心清き人?』『夏を愛する人は 心強き人?』『秋を愛する人は 心深き人?』『冬を愛する人は 心広き人?』とある。“心深き人”…秋が「哲学の季節」といわれるのも、なんとなくわかるような気がする◆「一葉落ちて天下の秋を知る」という言葉がある。これは前漢の時代、淮南王の劉安が著した『淮南子』という書物に出てくる「一葉落つるを見て、歳の将に暮れんとするを知り、瓶中の氷を見て、天下の寒きを知る」という言葉だ。その後、「文録」に唐人の詩として「一葉落ちて天下の秋を知る」と載った◆『淮南子』での、「一葉落つるを見て、歳の将に暮れん?」という意味は、小さな現象から根本を悟らねばならぬということだが、その後はむしろ、小さな兆候から“衰え亡びようとする形勢”を察する喩えに、用いられている。坪内逍遙の「桐一葉」は、片桐の桐をとると同時に、豊臣家の衰亡の意をこめている◆味をみる場合、全部食べなければわからないということはない。小皿にとって一口食べるだけで、全体の味がわかる。また、湿気を吸わない羽と、湿気を吸う炭とを秤にかけると、空気が乾燥しているか、湿気があるか、を知ることができる◆今年の日本の秋は、「新政権がスタートした秋」だ。新政権が発足して一ヶ月半、今のところ高支持率を維持している。しかし…発足の当時の期待感は、段々と薄れてきた。新政権の、最近の言動を見ていると、衰え亡びようとする兆候が見え隠れしている。一葉落ちて秋を知るのもいいが、秋の次には「冬」が控えていることも、忘れないように。(和光)
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  • 2009/10/25
  • 執筆者: Yamaoka (7:40 pm)

<心声天語>(157)汝の敵を愛せよ

27年前に娘を殺された実父が、男を使ってドイツ人容疑者をドイツからフランスへ誘拐させ、ロープで縛った状態で放置する事件が発生、仏の警察は、裁判所前で同容疑者の身元を確認し、逮捕した。最愛の娘を殺された父親の、敵討である◆古今東西、敵討ちは世界中で行われてきた。日本では「忠臣蔵」が有名だ。元禄14年、江戸城で赤穂藩藩主・浅野長矩が吉良義央に切りつけた。浅野は切腹、吉良はおとがめなしとなった。この結果を不満とする赤穂藩浪士47人が吉良邸へ討ち入り。その後赤穂浪士たちは切腹となった。命をかけて藩主の敵を討った赤穂浪士たちの“義”は、美談として語り継がれてきた◆日本には「江戸の敵は長崎で」という言葉がある。また、肉親の敵討ちは称賛され、罪に問われなかった。そればかりか、親の敵討ちができない後継ぎは「お家断絶」であった。「仇討ち禁止令」が発令されたのは明治になってからだ◆「目には目を」という言葉がある。これは、「やられたら、それ以上にやり返せ」という意味ではなく、目をやられたのに命までとるのは“やりすぎ”という意味で「目には目を」である。人間の感情の中で最も“激情的”な感情は、「嫉妬心」と「復讐心」だ。とくに復讐心は、復讐する相手以上の罪を自分が犯すことになる◆カトリック文化圏の欧米社会では、「罪を赦し」「汝の敵を愛せよ」となっており、敵討ちは否定的だ。戦後、連合国総司令部は復讐運動の高まりを恐れ、「忠臣蔵」の道徳観は民主化の妨げになるとして(復讐の物語のため)それを題材にした作品の公演、出版等は禁止されたぐらいだ◆日本は米国を“敵”として戦った。しかし、その敵を今では愛しすぎるほど愛している。まさに、「汝の敵を愛せよ」である。(和光)
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