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  • 2016/09/08
  • 執筆者: Yamaoka (6:41 pm)

<記事紹介>「事情通」(『週刊現代』9月10日号)

カテゴリ: 書評
 先週発売(8月29日)の号分で恐縮だが、『週刊現代』の「事情通」というコラム欄に注目すべき内容が出ていた。
 20代にしてに太陽光発電販売で日本一の会社にしたということで世間の注目を集め、本紙でも取り上げていた「エステート24ホールディングス」(大阪市北区)の秋田新太郎社長が、一転、腹心の田中智久元幹部と共に、みずほ銀行からの融資詐欺で逮捕(ただし1審実刑判決も2審は執行猶予付きに)されたのは13年10月。
 その一方の田中元幹部がこの8月中旬、釣りをしていた最中に行方不明になったというのだ。

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  • 2016/03/17
  • 執筆者: Yamaoka (9:45 pm)

<書評>『国防政策が生んだ沖縄基地マフィア』(平井康嗣・野中大樹共著。七つ森書館)

カテゴリ: 書評
「普天間基地の代替施設」として名護市辺野古沖に建設予定の米海上基地建設は、国と県の「和解」で再び膠着状態となっている。1997年の日米政府間の合意から始まるこの基地移設問題、実に20年近く経っても進展していない。
 言うまでもなく、翁長雄志沖縄県知事を先頭に、県民が「これ以上、基地はつくらせない!」と“オール沖縄”でまとまったことが基地建設を止めている大きな理由。だが、ここに至るまでの紆余曲折には、沖縄内部の“基地マフィア”の存在があったことは余り知られていない。
 本書は、その沖縄基地マフィアの実態を、内部告発や関係者の取材から浮かび上がらせている。
 まず焦点となるのが、06年に基地推進派の島袋吉和氏が名護市長に当選して以後、新基地の規模や工法が浅瀬案、沿岸案、L字案、V字案とめまぐるしく迷走していた時期。実はこの迷走は、海の埋め立てに伴う土砂利権を少しでも得ようとする“基地マフィア”と政府との間で、熾烈な駆け引きが起こっていたから。当時の防衛庁事務畑トップの守屋武昌・事務次官が更迭されたのもこの時期だ。内閣の官房機密費がどう使われたのか衝撃の証言もある。
 14年の名護市長選では、基地推進派の候補が真っ二つに分かれた。前市長の島袋氏と、元県議の末松文信氏だ。この混乱の背後にも、“基地マフィア”の暗躍と、そして誤算があった。結局、末松候補に一本化したが、市長選は基地反対派の稲嶺進氏の勝利に終わる。
 本書で言うマフィアとは、「政策に大きな影響力を持つ密室性の高いインナーサークルや交渉責任者そのもの」を指す。「旧日本軍海軍出身らしい比嘉鉄也氏(上右写真。元名護市長)の重しのある政治手腕、県建設業界副会長で県防衛協会北部支部長でもあった仲泊(弘次)氏(上左写真)の卓越した指揮力、県商工会会長を務めた荻堂(盛秀)氏(横写真)の経済界への睨み。沖縄北部にこうした基地マフィアが存在しなければ、あるいは普天間の移設先候補にも名護は上がらなかったかもしれない」(本書より)。
“マフィア”の実名が上げられており、沖縄側も実際は一筋縄では行かず、時には政府も彼らに翻弄されて来たことが読み取れる。
 昨年10月、安倍政権は名護市の頭越しに、直接地元の久辺3区に基地交付金をバラ撒く方針を打ち出した。こうした自民党の政治手法こそが、“基地マフィア”を生み出す元凶なのだ。
 なお、本書で集中して登場する仲泊氏(建設会社「東開発」会長)については、本紙もかつて08年の記事で“地元フィクサー”として取り上げたことがある
(本体1800円+税)
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  • 2015/07/23
  • 執筆者: Yamaoka (12:47 am)

<記事紹介>「帝国データバンクーー信用ならざる『信用調査会社』の実態」(『選択』7月号)

カテゴリ: 書評
 現在発売中の月刊会員制情報誌『選択』の連載「日本のサンクチュアリ」で調査業界トップ「帝国データバンク」(東京都港区)が取り上げられ、帝国データ自身もそうだが、調査業界全体にも衝撃が走っている。
 それはそうだろう。 
 帝国データは信用調査市場の実に6割を占めるガリバーだが、記事見出しに出ているように、そのデータが信用ならないとこき下ろしているのだから。
 この間、ガリバーの地位に胡坐をかき、リストラして調査員を減らす一方、営業を猛烈にかけ利益重視に走った結果、データの質が落ちたのみならず、カネさえ出してくれれば、暴力団関連企業でも点数を水増ししてあげ通常取引可能企業に認定しているというのだ。

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  • 2015/06/14
  • 執筆者: Yamaoka (5:23 pm)

<書籍紹介>「秘密保護法違憲訴訟」本人尋問で指摘ーー『自衛隊が配布した“秘密のカード”』(著・寺澤有。インシデンツ)

カテゴリ: 書評
 本紙・山岡も原告に名を連ねている「フリーランス表現者42名による秘密保護法違憲訴訟」は、安倍政権が米国と共に世界中で戦争が出来ることを目指す「安保法制」(戦争法案)と一体の関係にある「秘密保護法」は憲法違反だとして無効を求めるもの。
 その違憲訴訟の6月3日原告本人尋問で、ジャーナリスト仲間の寺澤有氏が、自衛隊の「隊員家族連絡カード」なるものの存在につき暴いたのは本紙でも既報の通り。
 その際は、秘密保護法施行下、ネタ元の隊員が特定秘密だとして逮捕されることを恐れたと思われる結果、寺澤有氏は話しか聞けなかったが、その後、何とか問題のカードを入手し、この間の取材経過も含め一冊にまとめたという。
 それが本書『早くも戦死者を想定ーー自衛隊が配布した“秘密のカード”』(著・寺澤有。インシデンツvol.2。294円。Kindle版)。是非、ご一読を
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  • 2015/03/24
  • 執筆者: Yamaoka (10:32 pm)

<書籍紹介>3月末から発売ーー『芸能人、ヤクザ、政治家は弱い者イジメが大好き』(著者・渡辺正次郎。Amazon Kindle)のすごい内容

カテゴリ: 書評
 本紙ではお馴染みの渡辺正次郎氏(冒頭写真)の久々の著書、『芸能人、ヤクザ、政治家は弱い者イジメが大好き』がアマゾンの電子書籍のかたちで3月末には出るという。
 最終的にはこの書籍タイトルとなったが、当初は『独裁総理を目指した男』となっていたように、これは渡辺氏の半生記。自身の実体験を記したもの。。
 渡辺氏、かつては藤圭子をデビューさせるなど、ヒットチャート紙の編集長として芸能界で活躍。その後、警察に強い故・迫水久常参議院議員の秘書などを務め、社会の裏表の真相を垣間見れる立場にいただけに、その内容には驚愕することが多く書き連ねられているというから、面白くないはずがないだろう。
 以下、その注目の書籍の章立てと、各小見出しのなかで特に気になるものを抜粋しておく。
 これで本書がどんな内容か、おおよそおわかりいただけると思うからだ。

第一章 暴走族『関東連合』と行動右翼『国防青年隊=国防連盟)』と国家転覆を狙い地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教の看板男・上祐史浩と私とのある関係

★市川海老蔵 暴行犯が暴走族『関東連合』と知り激怒!!
★オウム上祐史浩逮捕の夜、青山道場に銃声轟く!
★行動右翼大幹部急死の知らせ!
★全国の暴走族大同団結・警視庁と一緒に『関東連合』創設、初代最高顧問に
★『関東連合』結成当時のメンバーには警察署長の息子、大学教授の息子、財界人の孫、自民党大物議員の末娘らも
★『関東連合』創設時メンバーでヤクザ、右翼になったのは0.0一%。が、全員、組長、総長、総裁、会長に!

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  • 2015/01/07
  • 執筆者: Yamaoka (2:50 am)

<雑誌紹介>『ジャーナリズムと企業広報』(本紙・山岡もインタビュー。財界展望新社)

カテゴリ: 書評
 つい先日、月刊経済雑誌『ZAITEN』の臨時増刊号として、『ジャーナリズムと企業広報』を特集した雑誌(143頁)が出ている。
 巻頭は田原総一朗氏のインタビュー。
 その他、『東洋経済』を始めとする主要経済週刊誌の部数争い、『財界』などそれ以外の経済誌の現状、ネット系経済専門ニュースサイトの在り方、企業の内部告発事情、企業のスラップ訴訟、広報担当者が語るマル秘広報テクニックの匿名座談会など、関係の特集記事が並ぶ。
 さらに、10名のジャーナリストのインタビュー記事(各2頁)もあり、取材体験を通じての「出来る広報」、「ダメな広報」の具体事例が上げられ、名指しされるケースも。

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  • 2014/09/26
  • 執筆者: Yamaoka (4:17 am)

<書籍紹介>『遺言』(田中森一。双葉社)

カテゴリ: 書評
 9月末には全国の書店に並ぶという。
 石橋産業手形詐欺事件と9000万円の詐欺事件の2つで服役した、元検事、元弁護士の田中森一氏(71)の『反転』に続く2冊目の自叙伝だ。
 この『遺言ーー闇社会の守護神と呼ばれた男、その懺悔と雪辱』は、なかなか読ませる。
 前書『反転』は、服役前、古巣の検察批判に重きを置いていたが、本書の後半部分は、主に自分の石橋産業手形事件は冤罪との点に重点が置かれ書かれている。
 元上司だった石川達紘元名古屋高検検事長が退官後、所属した法律事務所が石橋産業の顧問をやっていたこと、田中氏が弁護士時代に顧問をしていた仕手集団「光進」の小谷光浩氏の事件の取り調べで部下が暴行した関係で左遷されたことを石川氏は逆恨みしていた関係などから、古巣の検察にハッパをかけ、「国策捜査」になったとして、その手口も紹介している。
 そのやり口はさもありなんと思わせるものだし、この事件の共犯で朋友・許永中も登場することから、一気に引きずり込まれた。

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  • 2014/07/13
  • 執筆者: Yamaoka (3:58 am)

<書籍紹介>『反証――六本木クラブ襲撃事件「逮捕からの700日」』(石元太一。双葉社)

カテゴリ: 書評
  2月14日から『反証』が全国発売される。
 本紙でも既報のように、例の六本木クラブ撲殺事件で“リーダー格”として逮捕された暴走族グループ「関東連合」元リーダー・石元太一被告に対し、東京地裁は昨年12月、懲役11年の一審判決(裁判員裁判。傷害致死の共謀共同正犯など)を出している。
 これに対し、石元被告は「無罪」を主張し控訴している(懲役22年求刑の検察側も逆に軽過ぎるとして控訴)。
 本書(冒頭写真)は、その石元被告本人が、なぜ「無罪」と言い続けるのか、これまでの公判なども振り返り、その理由を明かしたものだ。
 本書籍帯にも入っているように、共謀共同正犯とされたのは、警察、検察による「証拠の隠蔽と捏造」の結果だと言いたいようだ。
 また、『いびつな絆』を書いた工藤明男氏への反論、減刑を求めて仲間を裏切ったという2人の先輩への思い、未だ逃亡中の見立真一への気持ちなど、話題盛りだくさんだ(巻末には、代理人弁護士からの言葉も掲載)。

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  • 2014/05/21
  • 執筆者: Yamaoka (1:15 am)

<書籍紹介>『激撮! 歌舞伎町24時』(『週刊大衆』編集部。双葉社)

カテゴリ: 書評
 ドキュメンタリー写真家の権徹氏(46)といえば、靖国、元ハンセン病患者、在日朝鮮人もそうだが、歌舞伎町も主要テーマの1つ。
 その権徹氏ら(清平はじめ氏。神山文氏)から写真を提供してもらい、『週刊大衆』編集部の方で説明文を入れるなど編集、味つけした、“世界一の歓楽街”=東京は新宿・歌舞伎町の写真集。
 2020年の東京オリンピックに向け、さらに浄化作戦が熾烈化の様相を見せる中、歌舞伎町らしい写真集が出せる時間はもはや限れているのかも知れない。
 本紙・山岡は、「歌舞伎町10大事件」のコラムを担当している。
 本日から全国発売。
(600円+税)
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  • 2014/03/12
  • 執筆者: Yamaoka (1:24 am)

<書評>「粉飾の『ヒーロー』、堀江貴文 彼がいまだにわかっていないこと」(ライブドア株主被害者弁護団)

カテゴリ: 書評
 ライブドア事件で証券取引法違反に問われ実刑判決(懲役2年6月)を受け、長野刑務所に服役していた「ホリエモン」こと堀江貴文氏(41)が2013年3月に仮釈放されてから1年。この間、彼は獄中記を出版したり、メディアに頻繁に登場している。その様子は、有価証券書に虚偽を記載し株価を吊り上げるという、れっきとした詐欺紛い行為を行なった者とはとても思えない。
 本書(1月末発行。発行はインシデンツ)は、その詐欺紛い行為によって損害を被った株主たちが原告となり、被告ライブドア等に対する民事裁判を提起し、被害を回復した記録だ。
 株価の下落による損失を訴訟で取り戻すことは可能なのか? この難題に弁護団はどう立ち向かったのかが、本書の肝だろう。実際「投資は自己責任」という考えは広く染み渡っている。
 最終的には2012年7月、最高裁で被告側が原告の訴えのすべてを認諾したことにより、原告の完全勝利となるわけだが、そのテコとなったのが2004年の証券取引法改正により「推定損害額」制度が導入されたこと。

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  • 2013/08/02
  • 執筆者: Yamaoka (3:17 pm)

<書評>『自衛隊員が泣いている―壊れゆく“兵士”の命と心』(三宅勝久著。花伝社。本体1600円)

カテゴリ: 書評
 東日本大震災の懸命な救援活動で、自衛隊に対する国民の好感度はアップした。2012年の内閣府による調査では「良い印象を持っている」と回答した人が91.7%と過去最高を記録した。
 その一方、自衛隊の自殺率は年々増加し、2012年度は実に83人にものぼるという。省庁のなかでも突出して高い。好感度は高いのに自殺率が高いのは何故なのか――。
 本書は、『悩める自衛官』『自衛隊員が死んでいく』など一貫して自衛隊内部を取材してきたフリージャーナリスト・三宅勝久氏の最新刊であり、大手マスコミが報じない、自衛隊の内部事情を深く取材している。
 上官によるいじめ(護衛艦「たちかぜ」事件)、警務隊による執拗な取調べ・濡れ衣調査、徒手格闘という名の殺人的な訓練・・・。自衛官が自殺(死亡)に至る理由は様々だが、その原因を組織を挙げて隠蔽し、責任を回避しようとするあり方は、どの事件にも現れている。
 冒頭に登場する「護衛艦『たちかぜ』アンケート事件」をみてみる。海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」の1等海士(21)が2004年に自殺した。遺書が発見され、上官による虐待が明るみに出た。ところが自衛隊は、海士の自殺が上官の虐待によるものであることを否定する「内部調査」の結果を遺族に届けた。
 納得がいかない遺族側は防衛省に対し、情報公開請求をおこなうが、証拠は「不存在」と回答。遺族側は国家賠償請求訴訟を起こす。そのなかで自殺直後に「たちかぜ」乗務員を対象にしたアンケートの公開を求めるが、「廃棄した」の一点張り。遺族と弁護団の努力、さらに国側代理人の現職自衛官の内部告発を受け、突如として防衛省は「アンケートが見つかった」と発表した。隠蔽していたとしか考えられない。
 「暗部を暴いたらクビになる」・・・元一等陸尉は著者のインタビューに答えて、「カラ出張による裏金作り」を内部告発した結果、「公金横領」をでっち上げられた経緯を説明している。このような隠蔽体質やいじめ体質を見ると、自衛隊と警察はそっくりだ。
「『改憲』『国防軍』『尖閣問題』などが政治の争点として浮上し自衛隊に関心が高まっている今、ありのままの自衛隊の姿を知り、理解することが何より重要ではないだろうか。事実を抜きにして実りある議論はない」(まえがきより)。
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  • 2013/04/05
  • 執筆者: Yamaoka (5:02 pm)

書評『株・手形・不動産 「騙し」の手口』(相楽総一著。双葉新書)

カテゴリ: 書評
 本紙読者には興味深い内容であろう本がこのたび、双葉新書から発売された。株式、手形、不動産に関わる犯罪と、その具体的手口が一通りにまとめられたのが本書だ。
 第1章「株式犯罪のカラクリ」では、株価操縦の実例や不正・架空増資のやり方など、実際に起きた犯罪を実例に紹介。未公開株・偽造株券、インサイダー取引、粉飾決算などの仕組みも網羅している。ここでは、本紙読者にはおなじみの“金融ブローカー”大場武生氏、偽計取引の舞台となった「アイ・シー・エフ」などの名前も登場する。
 第2章は「手形犯罪のカラクリ」。なかでも“不渡り詐欺”なる、一般に馴染みのない、奇怪な詐欺行為が触れられているが、一部紹介しよう。
「こうした犯罪に手を染めるグループは『当座屋』と呼ばれる。彼らはまず当座預金付きの休眠会社を二束三文で買い取ることから始める。その相場は300万円。彼らが狙うのは主に内装工事関係の会社。というのも、内装工事会社の場合、ゼネコンからの支払いが主に120日間の手形払いになっており、取引先にたいして、手形決済できないと経営に支障をきたす業種だからだ。つまり、当座屋が休眠会社を買い取ったあと、それだけ銀行が手形の発行を容認しやすい業種だといえる」。続きは本書をご覧頂きたいが、知能犯罪の極みといってよい。
 本書の副題に「平成経済裏面史」とあるように、バブル崩壊後の長期不況のもと、横行した金融犯罪の具体実例を追う内容ともなっている。
 騙されないためにも一読することをおススメする。なお、本紙・山岡も取材協力している。
(本体800円+税)
閲覧数 (41681)
  • 2013/03/11
  • 執筆者: Yamaoka (5:01 pm)

「検証 福島原発事故・記者会見2――『収束』の虚妄」(木野龍逸著。岩波書店)

カテゴリ: 書評
 あの「3.11」から2年が経ったが、福島第一原発事故については早くも“風化”の兆しが漂っている。その要因のひとつは、昨年末の野田元首相による「事故収束宣言」にあるだろう。
 だが実際には「収束」には程遠いのが実情だ。『検証 福島原発事故・記者会見―東電・政府は何を隠したのか』の続編である本書は、そのことを告発している。
 たびたび漏出する放射能汚染水だが、それは溜まり続け、置く場所もなくなりつつある。原子炉建屋内部は、高線量で人間が近寄ることすらできない。これでどうして「収束」したと言えるのか(写真は3月9日、東京で開かれた「つながろうフクシマ・さようなら原発」集会)。
 しかも、東電は事故の張本人であるにも関わらず、相変わらず情報開示をためらっている。事故発生当時のテレビ会議の様子がようやく一部公開されたが、これにしても著者らジャーナリストが記者会見において東電に執拗に追求した結果である。
「テレビ会議の録画映像は、未曾有の原子力災害を引き起こし、近隣のみならず日本全体に多大な影響を与えた東電が、事故直後にどのような対応をとっていたのかを明らかにする重要な一次資料である。『社内資料』『プライバシー』『了承がない』といった理由で公開を拒むことが許されるのだろうか」(第4章 情報“非”公開)と著者は批判する。東電はいまだに事故の社会的責任を感じていないと思わざるをえない。何を、どう公開するかを決めるのは「加害者」の東電であることに、そもそも矛盾があろう。

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  • 2013/01/29
  • 執筆者: Yamaoka (5:56 pm)

書評『なぜ警察官の犯罪がなくならないのか』(飛松五男著。インシデンツ)

カテゴリ: 書評
 近年、警察官の不祥事が頻繁に起きている。飲酒運転、強姦・ワイセツ事件、個人情報漏洩、裏ガネづくり。挙句の果てには、富山県警警部補による放火殺人事件(2010年4月)など凶悪な事例も発生した。「こんな組織が犯罪を取り締まれるものか」「一体、警察はどうなっているのか」と怒りがわく人も少なくないのではないか。
 インシデンツ(発行者・寺澤有)から発行された本書の著者、飛松五男氏は、1964年に兵庫県警巡査となって以降、2005年に警部補で定年退職するまで、管理部門以外の全ての捜査部門を勤めた方だ。そのため、警察内部の事情に精通している。テレビ番組「たかじんのそこまで言って委員会」のコメンテーターとしても知られる。
 著者自身が見聞した警察内部の様子は、一般人には信じがたいものがある。例えば署長にしてからが、痴漢や盗撮を犯す。窃盗事件で逮捕した男の妻を、警ら課の警察官が車内で強姦したというエピソードも出てくる。
 暴力団に高級腕時計や自動車をたかる、個人情報を漏洩して小遣いをかせぐ。証拠品を紛失したり捏造する、押収した薬物に溺れる。・・・こうしたエピソードが次から次へ飛び出す。そのリアルな事例はぜひ本書を手にとって読んでほしいが、驚くべきことに、これらはいずれも隠され、“犯人”は何の罪にも問われなかった。

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  • 2012/12/19
  • 執筆者: Yamaoka (5:40 pm)

書評『馬見る力ーー元G?調教師が贈る「競馬の教科書」』(河野通文著。双葉社)

カテゴリ: 書評
 著者の河野通文氏は元GI調教師。1991年に調教師となって以後、三浦皇成騎手を育成する等、その手腕を発揮した。ところが2011年9月、「暴力団との交際」を理由にJRAから調教師免許を剥奪され、競馬会を去って1年が過ぎた。
 それに至る真相をありのままに綴りながら、競馬会への思いや三浦皇成騎手との思い出、さらには競馬に勝つための方法を述べたのが本書だ。
 三浦皇成騎手と言えば、数々の新人記録をもつ名騎手。「愛弟子」三浦騎手との出会いから、伝授した「三つの教え」、活躍する三浦選手への思いが述べられている。
 他方、競馬に勝つために馬や騎手をどう見極めればよいのか、といった実践的アドバイスも。「元気な馬」を区別するポイントが何点か上げられている。競馬ファンにとって興味津々だろう。
 そしてやはり気になるのは「暴力団との交際」の真相だ。

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  • 2012/10/30
  • 執筆者: Yamaoka (11:30 pm)

<記事紹介>「特捜部が封印した野田首相のウラ献金捜査」(『サンデー毎日』10月28日号)

カテゴリ: 書評
 うっかりして報告するのがすっかり遅くなってしまったが、2週前に出た『サンデー毎日』に載っていたこの記事、本紙にとっては実に興味深い。
 タイトルだけ見ると、野田佳彦首相の疑惑だが、その前段として、本紙が精力的に報じた特許庁のコンピュータ新基幹システムを巡る二階俊博氏の疑惑があり、本紙がその関連でいち早く指摘した政界指南役・五味豊二氏や辻野源治氏も実名で指摘され、加えて、同じく本紙がいち早く指摘したように、自殺した柴野多伊三元代議士の事件の背後にも二階氏がいた可能性を指摘しているからだ。

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  • 2012/07/03
  • 執筆者: Yamaoka (6:11 pm)

<書評>『生涯編集者 月刊「創」奮戦記』(篠田博之著。創出版。1400円+税)

カテゴリ: 書評
 1970年、「革命」「ゲリラ戦争」などの字面が紙面を踊る、新左翼機関紙ばりの『構造』と言う雑誌が創刊したが、実はオーナーは総会屋だった。これは1年で廃刊となり、『創』となるものの、82年の商法改正で『創』を含む総会屋系雑誌は一挙に壊滅。
 しかし1982年、新生『創』が著者・篠田博之氏らの血のにじむような努力によって、再出発する。
 この経緯も興味深いが、1982年から現在に至るまでの『創』の歴史は、まさに日本のジャーナリズムの歴史でもある。ただし主流ではなく、「市民の立場に立って、権力を監視する」という原則に忠実であるがゆえの、異端の歴史といえるかもしれない。
 麻原元教祖三女の入学拒否事件や、和歌山カレー事件・林真須美死刑囚、あるいは宮崎勤死刑囚とのやり取り等は、ほとんどのメディアが彼らを「加害者」として一方的に断罪するだけのなか、貴重な情報源となった。
 皇室タブーなど「言論の自由」に関わる右翼との熾烈な攻防、コミック規制反対運動など、『創』の戦いの歴史もあるが、「イトマン事件と家宅捜索」(第4章)は今も「重たい後遺症」として残っているという。
 本紙・山岡が登場する「武富士盗聴事件と裁判闘争」(第10章)では、武富士による「恫喝裁判」と闘い、山岡宅の盗聴事件で武富士会長を有罪に追い込んで勝利した、その一部始終がまとめられている。(横左写真=山岡の事件の著書。右=山岡自宅放火事件についても10章では触れられている)
 近年、フリージャーナリストを標的にした、企業による「恫喝訴訟」が頻発するなか、この闘争記録は参考になるのではないか。
 雑誌ジャーナリズムが次々と廃刊している。硬派の「創」が今も精力的に出版活動を続けているのは奇跡に近い。編集長の奮戦記である本書を、ぜひ多くの方が手にとってほしい。
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  • 2012/06/29
  • 執筆者: Yamaoka (12:10 pm)

書評「『本当のこと』を伝えない日本の新聞」(マーティン・ファクラー著。双葉新書。800円+税。7月6日発売)

カテゴリ: 書評
 書名でいう「本当のこと」とは何か? そのひとつは、福島第一事故直後に、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)による放射能拡散予測を政府が意図的に公表せず、その結果、付近の避難者が余計な被曝を強いられたこと。その事実を大手メディアは掴んでいたにも関わらず、だいぶ後になるまで報道しなかった。
 なぜか? それは著者が鋭く指摘するように、大手メディアは記者クラブ制度に寄りかかり、「原子力ムラ」と癒着していたからだ。
 アメリカ人ジャーナリストの著者は、ニューヨークタイムス記者として長年日本に滞在し、3.11報道によってピュリッツアー賞国際報道部門ファイナリスト(次点)に選出された。日本語が堪能で、日本社会を深く理解しているジャーナリストだ。
 その彼から見た大手メディアの現状と言えば・・・フリーを締め出す排他的な記者クラブ、「企業広告掲示板」とも揶揄される大企業ベッタリの大新聞、サラリーマン(正社員)中心の歪んだ雇用構造など、著者ならではの鋭い指摘が見られる。
 とはいえ日本通の著者のスタンスは、「日本が好きだからこそ」の批判。最終章「日本の新聞 生き残りの道」で、記者クラブ型メディアの時代は終わりを告げるとともに、クオリティの高い新聞が再生するという展望を語っている。
 なお、アメリカでは、権力に近づきすぎたジャーナリズムのことを「アクセス・ジャーナリズム」と呼ぶのだそうだ。9.11事件からイラク戦争に至るまで、多くのメディアが体制翼賛的な記事を執筆したことが反省されている。本紙アクセスジャーナルと紛らわしい呼び名だが、その姿勢は対極であることは読者の方々にはわかってもらえるはずである。
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  • 2012/04/16
  • 執筆者: Yamaoka (1:30 pm)

<書籍紹介> 『「主権者」は誰か 原発事故から考える』(日隅一雄著。岩波書店)

カテゴリ: 書評
 4基もの原発が大事故を起こして1年余り。事故の原因究明もできていないのに、野田政権は「安全基準をクリアした」と大飯原発の再稼動をめざしている。国民の多数は再稼動に反対にも関わらず。
「主権者」はいったい誰なのか、誰しも疑問を覚えるだろう。
 事故直後の対応もそうだ。放射能拡散についての正確で迅速な情報公開がなかった、というだけではない。情報公開の範囲や、放射能の「安全性」についての基準も、政府が恣意的に決めてきた。主権者は国民である、という憲法の核心、理念がそもそも政府には欠けているといわざるをえない。
 本書の著者・日隅一雄氏は、フリーの立場で政府・東電の記者会見を追い続けてきた第一線のジャーナリストである。その取材経験をふまえ、本書では、なぜここまで主権者である国民がないがしろにされているのかを考察している。
 実質的に主権を握っている官僚組織、市民的自由を制約されている裁判官、そして監視役としての役割を放棄しているマスメディア・・・。こうした事態を改め、本来主権者であるべき国民がいかにしてそれにふさわしい力を身につけていけるのか。それが本書の核心部分であるといえよう。
 ぜひ本書を手にとって読んで頂きたいが、一例を挙げれば、以前、本紙でも紹介したことがある審議会(政府が新しい政策を諮問するときに設置される)の改革だ。イギリスの「公職任命コミッショナー制度」を手本に、政官業の癒着を断ち切り、公正中立で市民の立場に立った審議会に改善しようという提案である。
「戦後、私たちは主権者として振る舞うことをわすれ、あまりに多くのことを国会議員、そして官僚に任せすぎた」という反省が、著者にはある。政治家や官僚を批判するだけでこと足れりとしていては、もはやこの国の崩壊を押しとどめることはできない。私たち自身が正しい情報を選び、積極的に政治参加していくことが求められている(岩波ブックレット。本体500円+税)
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  • 2012/02/09
  • 執筆者: Yamaoka (1:10 pm)

<書籍紹介> 『検証 福島原発事故・記者会見―東電・政府は何を隠したのか』(日隅一雄・木野龍逸共著。岩波書店)

カテゴリ: 書評
 政府や東京電力、そして大手メディアへの怒りなしには読めない本である。
 福島第一原発の事故発生後の3月16日から東京電力本社へ取材を開始し、4月25日からは政府と東電の統合記者会見に出席し続けた著者2名は、フリージャーナリストの立場で、政府や東電を鋭く追及し続けた。この本はその克明な記録だ。
 事故原因を「想定外」の津波によるものと断定し、損害賠償の免責をはかった東電。だが東電自身が2008年に10メートル以上の津波が来ることを想定していたことが発覚。これに東電はどう答えたか。
 事故直後、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)による拡散予測が公表されなかったのは何故なのか。政府内部の、誰の判断なのか。
 あの高濃度汚染水の海への放出は、本当に避けられなかったのか。放出するという判断は誰がどの段階でおこなったのか。
 作業員の被曝管理はどのようにおこなわれていたのか。大量被曝した作業員や病気で死亡した作業員について東電は、「プライバシー」を盾に隠し続けるが、実態はどうなのか。

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本紙 山岡俊介著
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